日本の文化や伝統は世界から注目されており、日本に訪れる観光客の数は年々増加しています。
2020年はコロナの影響があり、一時的に観光客の数は減少しましたが、日本への興味関心は高まっているため、これからもより多くの観光客が海外から日本に訪れることでしょう。
以下のサイトは、日本に入国している外国人の数をわかりやすく年代別でグラフ化されていますので、参考にしてみてください。
短期間の旅行のためだけであれば、パスポートのみで日本に入国することができますが(一部の国を除く)、外国人が日本の文化や伝統に興味を持ち、日本で働いたり、生活したりすることは簡単なことではありません。
外国人が日本で生活をするためには、何を目的として日本で生活をするのかを申請して、「在留資格」を取得しなければなりません。
在留資格という言葉を耳にしたことがある人は多いと思いますが、詳しく知らない人がほとんどだと思います。
この記事では、在留資格について詳しく解説していきます。
外国人を雇用している企業の方や、日本での生活に憧れがある外国人の方にとって、とても有益な情報になることでしょう。
在留資格とは
在留資格とは、「外国人が日本に在留することができる資格」です。
旅行や結婚ももちろんですが、仕事をするために取得するイメージが強いかもしれません。
しかし、在留資格を取得して日本での滞在を許可されたからといって、仕事をして収入を得ることが許可されるわけではありません。
在留資格には種類があり、それぞれの資格によって出来ることが異なります。
日本に滞在し、仕事をして収入を得るためには、仕事をすることが認められている在留資格を取得する必要があります。
また、在留資格は1人1つのみしか取得できないため、日本でやりたい内容にあわせた在留資格を取得しなければなりません。
では、在留資格にはどのような種類があるのか、紹介します。
在留資格は29種類あり、大きく分けると「活動資格」と「居住資格」に分けられます。
活動資格
活動資格は、以下の3種類の資格に分類されています。
・就労が認められている在留資格
・就労が認められていない在留資格
・特定活動
就労が認められている在留資格
以下の在留資格を取得することで、該当例に記載している就労が認められます。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
外交 | 外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等及びその家族 | 外交活動の期間 |
公用 | 外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族 | 15日~5年 |
教授 | 大学教授等 | 3ヶ月~5年 |
芸術 | 作曲家、画家、著述家等 | 3ヶ月~5年 |
宗教 | 外国の宗教団体から派遣される宣教師等 | 3ヶ月~5年 |
報道 | 外国の報道機関の記者、カメラマン | 3ヶ月~5年 |
高度専門職 | ポイント制による高度人材 | 1号は5年、2号は無期限 |
経営・管理 | 企業等の経営者・管理者 | 3ヶ月~5年 |
法律・会計業務 | 弁護士、公認会計士等 | 3ヶ月~5年 |
医療 | 医師、歯科医師、看護師 | 3ヶ月~5年 |
研究 | 政府関係機関や私企業等の研究者 | 3ヶ月~5年 |
教育 | 中学校・高等学校等の語学教師等 | 3ヶ月~5年 |
技術・人文知識・国際業務 | 機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等 | 3ヶ月~5年 |
企業内転勤 | 外国の事業所からの転勤者 | 3ヶ月~5年 |
介護 | 介護福祉士 | 3ヶ月~5年 |
興行 | 俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等 | 15日~3年 |
技能 | 外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等 | 3ヶ月~5年 |
特定技能 | 特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人 | 4ヶ月~1年 |
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人 | 半年~3年 | |
技能実習 | 技能実習生 | 1年〜2年 |
就労が認められていない在留資格
以下の在留資格は就労することを目的としたものではなく、学習や研究が目的のため、原則就労はできません。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
文化活動 | 日本文化の研究者等 | 3ヶ月~3年 |
短期滞在 | 観光客、会議参加者等 | 15日~90日 |
留学 | 大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒 | 4年3ヶ月以内 |
研修 | 研修生 | 3ヶ月~1年 |
家族滞在 | 在留外国人が扶養する配偶者・子 | 5年以内 |
しかし、学習や研究のための滞在とはいえ、日々の生活費を自分で稼ぐ必要があるケースがほとんどです。
その場合、資格外活動許可を取得することで、許可の範囲内で就労することが可能となります。
(例)週28時間以内のアルバイトであれば就労可能など
資格外活動許可は以下の必要書類を用意し、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請することで取得が可能です。
・資格外活動許可申請書
・当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類
・在留カード
・旅券又は在留資格証明書
※資格外活動許可を取得する前に就労してしまうと違法行為になるため注意してください。
特定活動
特定活動とは、他の在留資格に該当しない活動の受け皿として、法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格です。
新たな在留資格を作るためには入管法を改正する必要がありますが、特定活動により日本の在留を認める場合には改正をする必要がありません。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
特定活動 | 外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、インターンシップ、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等 | 3ヶ月~5年 |
居住資格
居住資格の一覧は以下の通りです。
居住資格を持つ外国人は就労制限がないため、好きな仕事をすることができるなどのメリットも多いですが、審査が厳しく、簡単に取得できるものではありません。
在留資格 | 該当例 | 在留期間 |
---|---|---|
永住者 | 法務大臣から永住の許可を受けた者 | 無期限 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・子・特別養子 | 6ヵ月~5年 |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子 | 6ヵ月~5年 |
定住者 | 第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等 | 6ヵ月~5年 |
在留資格の取得は在留資格認定証明書が大切
繰り返しになりますが、在留資格には多くの種類があり、自分にあった在留資格を取得しなければいけません。
在留資格を取得する上で大切なことは、在留資格認定証明書を取得することです!
在留資格認定証明書とは、在留資格を取得するための要件を満たしている人物だということを証明するものです。
つまり、在留資格認定証明書を取得できれば、ビザの取得や在留資格の取得の際などの入国に関わる様々な手続きを円滑に進めることができます。
在留資格認定証明書は絶対取得する必要がある?
在留資格認定証明書を取得しなくてもいいんじゃないの?と疑問に思われた方も多いことでしょう。
結論からお伝えすると、在留資格を取得するために、在留資格認定証明書を必ず取得しなければいけないというわけではありません。
在留資格認定証明書がなくても、在留資格は取得できます。
しかし、在留資格は在外公館では申請することができず、日本国内(滞在予定場所)で申請しなければいけません。
つまり、在留資格認定証明書を取得しない場合は、滞在を希望する本人が日本国内に来日して自ら申請を行う必要があります。
考えてみてください。
慣れていない国に滞在しようとしている人が、来日直後にこのような難しい申請を行うことが本当にできるでしょうか。
仮に自分で申請できたとしても、大きな負担になることは間違いありませんし、在留資格が認められなかった場合、日本に滞在することができず、帰国しなければいけないという最悪の事態になる可能性もあります。
在留資格認定証明書を取得しておけば、来日する前に在留資格の審査を終えることができるため、在留資格の取得が認められた状態で、来日することができます。
それでは、在留資格認定証明書をどのように取得するのか見ていきましょう。
在留資格認定証明書の取得から入国までの流れ
在留資格を取得するためには、在留資格認定証明書を取得することが大切ということがわかったと思います。
それでは、在留資格認定証明書の取得から日本に入国するまでの流れについて解説します。
出入国在留管理局に在留資格認定証明書交付申請書を提出する
代理人・受け入れ機関(雇用主、配偶者、行政書士など)の方が申請を行います。
下記の出入国在留管理庁のホームページから、在留資格認定証明書交付申請書をダウンロードできます。
自分にあった在留資格の種類を確認し、在留資格認定証明書交付申請書をダウンロードしてください。
必要箇所の入力を行い、出入国在留管理局に提出しましょう。
在留資格認定証明書を受け取る
在留資格認定証明書の申請が許可されると在留資格認定証明書が交付されます。
在留資格認定証明書は申請人である外国人の受け入れ機関、もしくは代理人に送付されるので受け取りましょう。
※申請が許可されなかった場合は、許可されなかった理由に基づき、書類を追加もしくは修正し再申請しましょう。
在留資格認定証明書を外国人本人へ郵送
在留資格認定証明書を受け取った受け入れ機関、もしくは代理人は、外国人本人へ在留資格認定証明書を郵送しましょう。
コロナの影響により、国際郵便が引受停止になったり、遅延が生じたりしている場合は、在留資格認定証明書のコピーの提出でも問題ありません。
外国人本人が在外公館で在留資格認定証明書を提示してビザ申請
在留資格認定証明書を在外日本公館へ提示してビザを申請しましょう。
日本へ入国する際に在留資格認定証明書とビザを提示する
在留資格認定証明書とビザを提示し入国許可が下りたら日本に入国でき、日本での滞在が可能となります。
入国までの流れを説明しましたが、意外と簡単だと思った方がほとんどではないでしょうか。
一言でお伝えすると、在留資格認定証明書を取得さえしておけば、入国までに必要なことは全て簡単に進められるため、在留資格認定証明書の取得がとても重要なのです。
日本に入国予定の外国人本人が在留資格を申請するデメリット
できることなら誰にも頼らず自分で在留資格を取得したいと考えている人もいることでしょう。
単刀直入にお伝えしますが、本人が在留資格を取得するのは無謀です。
というより、デメリットがかなり多いため、在留資格を自分で取得することは辞めたほうが良いでしょう。
在留資格を日本に入国予定の外国人本人が取得するデメリットを一緒に見ていきましょう。
申請するための準備に時間がかかる
在留資格を申請するためには、まずは以下の書類を準備する必要があります。
・在留資格認定証明書交付申請書(1通)
・写真(4㎝×3㎝)2枚(申請前6カ月以内に撮影され、上半身無帽、無背景で鮮明なもの)→1枚は申請書に貼付、1枚は裏面に氏名を記入し提出が必要
さらに、取得する在留資格の種類によって、追加で書類が必要となるため、申請するための書類の準備に時間がかかってしまいます。
申請結果が出るまでに時間がかかる
インターネットで調べた情報や、知人から知り得た情報だけでは、在留資格の取得のために必要な書類や、滞在理由の説明が足りないことが発生します。
その場合、追加で書類の提出を求められたりすることがあります。
そのため、申請結果が出るまでに時間がかかってしまいます。
在留資格が不許可になる可能性が高くなる
書類の不備があったり、日本に滞在する理由の説明に不足があったりすると、不許可となる可能性が高くなります。
在留資格が不許可になった場合、日本に滞在することができず、帰国しなければいけなくなるため、この点は必ず避けたい部分なので、大きなデメリットと言えるでしょう。
在留資格は行政書士に依頼!行政書士に依頼するメリット
在留資格を取得するためには、必要書類を揃えたり、滞在する理由をしっかりと説明したりする必要があります。
また、申請者本人が在留資格を申請する場合、出入国在留管理局に申請書の提出をしなければいけないため、とても面倒です。
企業の方は、採用・雇用関連の業務で忙しくなる時期に、自分たちの手で申請を行うとなるとかなりの業務ひっ迫となってしまいます。
行政書士に依頼をすることで、在留資格の取得をするために必要なことをほとんど行ってくれるため、スムーズな在留資格の取得が可能となります。
しかし、行政書士であれば誰に依頼しても良いというわけではありません。
申請人に代わって申請書類などを出入国在留管理局に代理で提出が認められている申請取次行政書士でなければいけませんので、その点だけ注意しましょう。
在留資格の申請を行政書士に依頼することで、実際にどのようなメリットがあるのか、一緒に見ていきましょう。
正確な申請で在留資格の許可が受けやすい
行政書士は在留資格に豊富な知識と経験があるため、正確な在留資格の申請が可能です。
行政書士は、在留資格が許可されたケースと不許可となったケースの両方を把握しているため、過去の経験をもとに、許可されやすいように在留資格の申請をしてくれます。
在留資格を取得するまでの時間を短縮できる
必要な書類や説明の仕方などを全て把握しているため、本人が申請するよりも圧倒的に時間を短縮することができます。
本人が申請する場合、書類の再提出や追加書類の提出を求められることがありますが、在留資格のプロである行政書士に依頼することで、申請までをスムーズに行うことができるため負担を最小限に抑えることができます。
出入国在留管理局に出向く必要がなくなる
申請取次行政書士は、本人に代わって出入国在留管理局に申請書を提出することができます。
そのため、本人は出入国在留管理局に出向く必要がなくなります。
本人は日本に入国した後の生活や、学業、仕事について考えることに専念できるため、日本での生活への不安を最小限に抑えることが可能となります。
まとめ
在留資格にはたくさんの種類があり、自分にあった在留資格を取得しなければいけません。
また、在留資格を取得するためには、必要書類を準備したり、滞在する理由の説明であったり、専門的な知識が求められます。
また、入国する前に在留資格認定証明書を取得しておくことが、在留資格の取得をスムーズに進められるため、とても重要なことなので覚えておきましょう。
日本で働きたい、日本で学びたい、日本で生活したいと心躍らせていても、在留資格の申請に不備があり、不許可となってしまった場合、計画は全て台無しになってしまいます。
多少の費用はかかってしまいますが、在留資格のプロである行政書士に依頼をすることが、とても大切です。