開業するためには許認可が必要!業種別に徹底解説します

許認可

「開業して成功したい」「独立したい」「会社に縛られず仕事がしたい」と考えている人は意外と多いのではないでしょうか。

「お金さえ用意できれば開業するのは簡単だ」と思っている人も多いことでしょう。

しかし、開業するためには許認可が必要で、許認可を申請し、取得するためには専門的な知識・経験が求められます。

また、勢い任せに開業したり、独立したりすると思いがけない落とし穴に落ちてしまう可能性もあります。

この記事では、開業・独立をして事業を行うために必要となる許認可について、業種別に解説していきます。

許認可とは

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、許認可を簡単に説明すると、役所から「事業をはじめても良い」とOKをもらうことです。

事業を行うために必要な手続きということですね。

事業を行う上で、許認可が必要な業種にも関わらず、許可をとらずに事業を行ってしまうと法律違反となり、懲役または罰金の罰則対象となる可能性があるので注意しましょう。

許認可が必要な業種は1000種類以上あります。

それぞれの業種ごとに手続きが異なり、「届出」「登録」「認可」「許可」「免許」の5つの種類に分類されます。

種類によってどのような違いがあるのか、手続きの難易度順に解説していきます。(基本的には下に行くほど手続きにかかる労力が大きくなり、難易度が高くなります)

届出(とどけで)

行政機関に「こういう事業を行います」という届け出をするだけで事業を行うことができます。

後のトピックで説明する許可や認可と違い、行政機関からの返事を待つ必要もないので、たった1枚の書類を届け出るだけで完了する簡単な手続きです。

登録(とうろく)

行政機関に届け出て、名簿に登録されることで事業を行うことができます。

届出と違い、届け出るだけではなく、名簿に登録がされないといけません。

認可(にんか)

行政機関に届け出て、認可を取得することで事業を行うことができます。

必要な条件を満たしていれば、行政機関は必ず認可を出さなければいけないというルールがあるため、条件さえ満たせば認可を取得できます。

許可(きょか)

一般的に法律で禁止されている行為を、特定の条件のもと、行政機関がそれを解除することで、事業を行うことができるようになります。

認可とは違い、必要な条件を満たしていたとしても、行政機関の審査に合格できず、許可が下りない場合があります。

免許(めんきょ)

分類としては許可とほぼ同じですが、特定の資格を有している者が行政機関に届け出て、審査に合格することにより事業を行うことができます。

開業するときに許認可が必要な代表的な業種一覧

前のトピックでもお伝えしましたが、開業する上で許認可が必要な業種は1000種類以上あります。

そこで、許認可が必要な業種を手続きの種類や申請窓口なども含めて一覧を作成しましたので、参考にしてみてください。

その中でも需要が高く、代表的な業種については、詳しく紹介します。

手続きの種類
申請窓口
業種
届出警察署探偵業、出会い系サイト
市区町村駐車場経営
保健所理美容業、マッサージ業、クリーニング業
登録都道府県旅行業・旅行代理店業、ペットショップ、貸金業電気、電気事業、解体工事業、ガソリンスタンド
運輸局倉庫業
認可警察署警備業、自動車運転代行業
都道府県保育所、私立学校
運輸局自動車分解整備事業
許可警察署風俗業(パチンコ店・キャバクラ・ゲームセンター)、質店、中古車販売、リサイクルショップ
都道府県介護事業、建設業、医薬品製造販売
保健所飲食業、食品製造業、ドラッグストア、ホテル・旅館、興行場運営業
運輸局タクシー業、運送業
免許税務署酒の製造・販売業(卸売業)
都道府県不動産業、人材紹介事業

理美容業(届出)

理美容業を行う場合は、開業予定日の1週間前までに、理容師法・美容師法に基づいて保健所への届出が必要です。

清潔保持や消毒設備の設置、充分な採光・照明、作業面積、充分な換気が得られる設備が整っているかなど各都道府県の条例で定められており、都道府県知事の検査により確認されます。

また従業員が2人以上の店舗においては、「美容室の場合は管理美容師」「理容室の場合は管理理容師」の資格を有した者を置く必要があります。

理美容業の開業に必要な届出、書類、手数料を下記に纏めておりますので、参考にしてみてください。

1.開設届

2.構造設備の概要

3.従業員名簿

4.従事する理美容師の免許証、および管理理美容師の修了証(本証提示)

5.健康診断書(3か月以内のもの)

  (注釈)結核・皮膚疾患等伝染性疾病の有無に関する医師発行のもの

6.開設者が法人の場合は、登記事項証明書(6か月以内のもの)

7.手数料 16,000円

詳しくは各都道府県のホームページにてご確認ください。

建設業(許可)

建設工事の完成を請け負うことを営業するには、公共工事であるか民間工事であるかに問わず、建設業法第3条に基づき、建設業の許可を受ける必要があります。

建設業許可を受けず建築工事を請け負った場合、建設業法違反となり、行政処分を受ける可能性があるので注意しましょう。

ただし、軽微な建設工事のみを請け負い営業する場合は、建設業の許可を受けなくてもよいとされています。

ここでいう軽微な建設工事は下記のことを指します。

①建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事

・「木造」…建築基準法第2条第5号に定める主要構造部が木造であるもの

・「住宅」…住宅、共同住宅及び店舗等との併用住宅で、延べ面積が2分の1以上を居住の用に供するもの

②建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事

出典:国土交通省/建設業の許可とは

上記の金額は、消費税及び地方消費税の税金を含めた額になります。

※建築一式工事・・・総合的な企画、指導、調整のもと、建築物を建設する工事のこと。新築工事や増改築、改修工事などの大規模で複雑な工事などが該当します。

建設業許可を受けるためには、5つの要件をクリアする必要があります。

・経営業務の管理を適正に行う管理責任者がいること

・専任技術者を設置していること

・財産的な基礎が安定していて、金銭的信用があること

・誠実に契約の締結、履行すること

・欠格要件等に該当しないこと

建設業許可に詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

【5分で理解できる】建設業許可が必要な場合と種類と区分について解説します
建設業許可が必要な場合と、建設業許可の種類と区分について詳しく解説しています。建設工事を請け負う場合に、建設業許可と一言で言っても、様々な種類や区分があり、とても複雑です。建設業をこれから始めたい方、すでに建設業で活躍されている方、建設業で独立を考えている方にとって、この記事はとても参考になると思います。

不動産業(免許)

不動産業を行う場合は、宅地建物取引業免許を受けなければなりません。

この免許を受けるためには、宅地建物取引士資格試験に合格する必要があります。

不動産業の申請をするためには、事務所を持っていることも条件の1つですので、開業する前に事務所を用意しておく必要があります。(自宅を事務所とすることも問題ありません)

また、申請の際には33,000円の手数料の支払いが必要です。

開業するときに許認可が不要な代表的な業種一覧

前のトピックでは、許認可が必要な業種について紹介しましたが、許認可が不要な業種もあるのか気になりますよね。

結論としては、許認可が不要な業種はあります。

それでは許認可がなくても開業できる代表的な業種について紹介します。

通信販売業

私たちの生活に馴染みのあるアマゾン、楽天市場、ジャパネット、ゾゾタウンなどは通信販売業です。

このようなインターネットショップ自体は許認可不要で事業を行うことが可能です。

しかし、取り扱う商品によっては許認可が必要な場合があるため注意が必要です。

例えば、食品を扱う場合には食品衛生責任者の資格と食品衛生法に基づく営業許可、リサイクルショップの場合には古物商許可が必要になります。

学習塾

学習塾経営は許認可は不要です。

ただし、学習塾経営をしたいと考えた人が簡単に参入できるということなので、激しい競争の中で営業し経営していかなければなりません。

ネイルサロン

ネイルサロンも許認可は不要です。

ただし、ネイルサロンで化粧品の販売を行う際は、化粧品製造販売業許可が必要となる場合もあるため注意が必要です。

また、昨今の美容業界は規制をしっかりしていこうという流れになりつつあり、新しい規制が敷かれる可能性があるため、時代の流れの変化に対応ができるよう、気軽に相談できる専門家を見つけておくことも大切でしょう。

葬儀業

葬儀業も許認可は不要です。

ただし、霊柩車を使用する場合には、一般貨物自動車運送事業の許可が必要となります。

高齢化社会が進んでおり、今後の業界拡大に目をつけて、他業種からも葬儀業に参入するケースが増えています。

まとめ

開業するためには許認可が必要なケースが多いということがわかったと思います。

業種によって許認可を取得するために必要な手続きが異なりますので、ご自身で調べて手続きをすることはとても大変なことです。

事業を始めようと思っても、そのために必要な許認可を取得することに時間と労力を割かれてしまっては大きな損失になってしまいます。

スムーズに事業を開始するためには、専門家に相談してみると良いでしょう。

また許認可不要で始められる事業であっても、全ての事業になんらかの規制は敷かれていますので、気軽に相談ができる専門家を見つけておくことがとても大切といえます。

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この記事の監修者:アスクプロ在籍社員(行政書士有資格者)