レンタカー業を始めるために必要な許可の取得要件とは?開業までの流れを徹底解説

許認可

レンタカー業をこれから始めようとしている方、レンタカー業に興味がある方のために、レンタカー業を始めるために必要な許可と、開業までの流れを徹底解説します。

最近では、「車を所有する」から「車をシェア」するといった考えにシフトしているため、レンタカー業はこれまで以上に注目されることでしょう。

レンタカー業とは

レンタカーはほとんどの方が1度は利用された経験があると思うので、説明は不要かもしれません。

ご存知の通り、レンタカー会社が所有している自動車を有償で貸し出して利益を作る事業のことです。

道路運送法上では、自家用自動車有償貸渡業といいます。

一般的にレンタカー業では「わ」ナンバーで登録された自動車しか使用できません。

レンタカー業を開業するためには、国土交通省の運輸局へ許可申請書を提出し、レンタカー業の許可を取得しなければなりません。

レンタカー業の許可を取得するために必要な要件をみていきましょう。

レンタカー業の許可を取得するための要件とは

レンタカー業の許可を取得するためには、「人の要件」「物の要件」「お金の要件」の3つを満たしていないとなりません。

それぞれ確認していきましょう。

人の要件

申請をする人が、以下に定める欠格事由に該当していると申請が却下されてしまうので注意が必要です。

ア 許可を受けようとする者が1年以上の懲役又は禁錮刑(禁固刑)に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者であるとき。

イ 許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しを受け、取消しの日から2年を経過していない者であるとき。

ウ 許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成5年法 律第88号)第15条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から2年を経過していない者であるとき。

エ 許可を受けようとする者が、一般旅客自動車運送事業、特定旅客自動車運送事業、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業又は自家用自動車の有償貸渡しの監査が行われた日から許可の取消しの処分に係る聴聞決定予定日までの間に、事業又は貸渡しの廃止の届出をした者(当該事 業又は貸渡しの廃止について相当の理由がある者を除く。)で、当該届出の日から2年を経過していない者であるとき。

オ 許可を受けようとする者が営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者である場合において、その法定代理人が前記アからエのいずれかに該当する者であるとき。

カ 許可を受けようとする者が法人である場合において、その法人の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)が前記アからオのいずれかに該当する者であるとき。

キ 申請者及びその役員が、申請日前2年前以降において、自動車運送事業経営類似行為により処分を受けているものではないこと。

出典:関東運輸局/許可基準

ワンポイント解説

・1年以上の懲役又は禁錮刑に処せられた場合は、執行を終えて2年経過していないといけません。

・レンタカー業の許可の取消しを受けたことがある場合、取消の日から2年経過していないといけません。

・レンタカー業の許可取消し処分を受けそうになり、処分逃れのために廃止届を出した場合、2年経過していないといけません。(不当な廃止ではない場合はOK)

・未成年(成年者の能力がない)の場合、法定代理人が上記の3つを満たしていないといけません。
※法定代理人とは…代理人の一種で法律により代理する権利がある人のこと。
当人が未成年者である場合に、親権者などの法定代理人が本人に代わって法律行為を行うこと。

・法人で許可を受ける場合は、法人の役員が上記の4つを満たしていないといけません。

・申請日の過去2年間に無許可でレンタカー業を行い処分を受けていないこと。

車の要件

レンタカー業に用いることのできる車両についてみていきましょう。

ア 自家用乗用車

イ 自家用マイクロバス(乗車定員11人以上29人以下であり、かつ、車両長が7m以下の車両に限る。以下同じ。)

ウ 自家用トラック

エ 特種用途自動車

オ 二輪車なお、自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合は、以下の自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合についての要件を満たさなければならない。

■自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合の要件
(1)自家用マイクロバスの貸渡しを行う者は、次の要件を満たす者に限ることとし、自家用マイクロバスの貸渡しを行おうとする者は、その7日前までに、車両毎に、その旨を当該車両の配置事務所の所在地を管轄する運輸支局長に届け出なければならないこととする。

なお、既に自家用マイクロバスの貸渡しを行っている者が当該届出を行う際には、原則として、直近2年間の事業における自家用マイクロバスの貸渡簿の写しを添付又は提示することとする。

① 現在、自家用マイクロバスの貸渡しを行っていない者にあっては、他車種でのレンタカー事業について、2年以上の経営実績を有し、かつ、届出前2年間において車両停止以上の処分を受けていないこと。

② 既に、自家用マイクロバスの貸渡しを行っている者にあっては、届出前2年間において車両停止以上の処分を受けていないこと。

(2)自家用マイクロバスの貸渡しに係る届出の提出先である運輸支局に対して、直近2年間に自家用マイクロバスの貸渡しに係る届出を行っている事業者において、直近2年間の届出の際に添付又は提示された自家用マイクロバスの貸渡簿の期間と今回の届出に必要な自家用マイクロバスの貸渡簿の期間が重複する場合にあっては、当該重複する期間に係る自家用マイクロバスの貸渡簿の写しの添付又は提示を省略することができる。

出典:関東運輸局/許可基準

ワンポイント解説

・自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合、7日前までに当該車両を配置する事務所を管轄する運輸支局長に届け出ること。

・届出をせずに自家用マイクロバスの貸渡しを行っている場合、直近2年間の貸渡簿の写しを添付するか、提示すること。

・自家用マイクロバスの貸渡しを行う場合、他車種でのレンタカー事業を2年以上行っていないといけない。

・届出前2年間で車両停止以上の処分を受けていてはいけない。

資金の要件

レンタカー業を始めるために、資本金や預貯金が〇〇円はないといけないなどの、資金的な要件は一切ありません。

しかし、資金の要件に近いものとして、貸渡自動車は、事故を起こした場合に備えて、十分な補償を行いうる次に定める自動車保険に加入することが求められています。

ア 対人保険1人当り8,000万円以上

イ 対物保険1件当り200万円以上

ウ 搭乗者保険1人当り500万円以上

出典:関東運輸局/許可基準

許可申請からレンタカー業開業までの流れ

ここまでレンタカー業についてや、許可を取得するための要件について詳しく解説してきました。

より理解を深めるために、許可申請からレンタカー業開業までの流れをわかりやすく解説します。

①許可申請に必要な書類の作成

②許可申請書を運輸支局へ提出

③運輸支局の審査及び許可の取得

④運輸支局・自動車検査登録事務所で車両登録

⑤レンタカー業開始

①許可申請に必要な書類の作成

許可申請時に必要となる書類は以下の通りです。

レンタカー業は、個人事業主でも法人でも許可を取得することが可能ですが、個人と法人で必要な書類が少しだけ異なります。

・自家用自動車有償貸渡許可申請書

・貸渡料金表

・貸渡約款

・個人事業主の住民票(法人の場合は登記簿謄本)

・欠格事由に該当しない旨の宣誓書

・事務所別車種別配置車両数一覧表

・貸渡しの実施計画書

都道府県によって必要な書類が異なる場合があります。

上記書類については、運輸局の窓口やホームページで入手することができます。

②許可申請書を運輸支局へ提出

許可申請に必要な書類が揃ったら、営業所を管轄している運輸支局に提出しましょう。

提出書類が揃っているかの確認が行われ、問題が無ければ書類が受理されます。

書類の受理は審査の開始を意味するもので、許可が下りたわけではないため、書類を提出した段階で事業を開始することがないよう注意しましょう。

③運輸支局の審査及び許可の取得

受理された書類の審査が行われます。

書類の審査結果が出るまでに約1カ月程度の期間を要します。

基本的に要件に問題がなければ許可が下りますが、書類に不備があったり、申請が多い時期は審査期間が1カ月以上かかる場合があります。

開業時期を決めている場合は、時間に余裕をもって許可申請書の提出を行うようにしましょう。

審査が完了すると、運輸支局より連絡が入りますので、運輸支局に許可書の受け取りに行きましょう。

運輸支局の窓口では、許可書の他に、登録免許税(9万円)の納付書が渡されます。

登録免許税(9万円)については、銀行や郵便局などの金融機関にて納付します。

許可取得から1カ月以内に納めないと許可を取り消される場合があるので、可能な限り早めに納付することを心がけましょう。

④運輸支局・自動車検査登録事務所で車両登録

レンタカー業の許可を取得したら、営業所を管轄する運輸支局・自動車検査登録事務所で車両登録を行います。

レンタカー業で使用する車両の登録をする場合、レンタカー事業者証明書が必要です。

レンタカー事業者証明書は、レンタカー業の許可を取得した運輸支局で取得できる書類です。

また、管轄警察署が発行した車庫証明も必要なため、あらかじめ用意しておく必要があります。

⑤レンタカー業開始

車両登録が完了したら、いよいよレンタカー業を開始することができます。

必要書類を揃えるところから考えると、事業開始までに約1カ月半~2カ月はかかると見込んでおいたほうがよいでしょう。

まとめ

レンタカー業を始めるために必要な許可と、レンタカー業開業までの流れについて詳しく解説してきました。

レンタカー業は許可の取得さえすれば、誰でも始められる事業です。

しかし、書類の準備から開業まで約2カ月程度かかります。

また、準備すべき書類が多く、書類の準備から許可取得までを1人で行おうとすると、スムーズに進められない場合もあります。

「レンタカー業を始めたい!」と意気込んでも、最初の段階でつまづいてしまうと、円滑に事業をスタートさせることができません。

もちろん1人で行うことも可能ですが、不安な方は、許可申請のプロである行政書士などの専門家に相談してみることをおすすめします。

行政書士を探してみる

この記事の監修者:アスクプロ在籍社員(行政書士有資格者)