【自分でも申請できる!】個人と法人での古物商許可の申請方法と必要書類を教えます

許認可

古物の売買、交換、レンタルを業として行う古物営業を行う場合、古物商許可を取得しなければなりません。

古物商許可を取得するには、必要な書類を集め、申請書を作成し、警察署へ許可申請をする必要があります。

以下に、申請方法や必要書類について詳しくご説明します。

なお、地域や警察署によって、必要な書類や手続きの流れなどが異なる場合があります。

ご自身で許可を得る際は、事前に該当する地域の警察署に確認することをおすすめいたします。

古物商許可の申請前に確認しておくべきこと

古物商許可の申請をする前には、以下の点を確認する必要があります。

個人名義・法人名義のどちらで申請するか

古物商許可は、個人と法人のどちらで取るかを事前に決める必要があります。

個人で古物商許可を取得していたとしても、その個人が役員となっている法人で古物営業をすることはできません。

法人として古物営業を行おうとする場合は、法人名義で古物商許可を取得する必要があります。

個人と法人どちらの名義で古物営業を行うかを決めて、申請者を決定しておくことが必要になります。

欠格要件に該当していないか

古物営業法第4条に、古物営業許可の欠格要件が定められており、欠格要件に該当する場合は、申請をしたとしても許可を受けることができません。

欠格要件には、以下のものが挙げられます。

  • 破産手続中で、まだ復権していない者
  • 禁錮以上の刑、または特定の犯罪により罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
  • 住居の定まらない者
  • 古物営業許可を取り消されてから、5年を経過しない者
  • 営業について成年者と同一の能力をもたない未成年者
  • 営業所や古物市場ごとに管理者を選任すると認められないことについて、相当な理由がある者

詳しくは、古物営業法4条を参照していただくか、警察署にご確認ください。

スケジュールを確認しよう

古物商の許可申請は、申請書を提出してから、土日祝日を除いた40日間が標準処理期間となります。

標準処理期間とは、行政庁(ここでは「行政庁=警察署」になります)が申請書を受理してから、許可等をするまでに通常要すべき標準的な目安となる期間です。

警察署によっては、40日間より短い期間で、申請が許可されることがあります。

古物商許可の取得申請には、必要書類の収集と、申請書の作成が前提となっており、申請の準備を始めてから2ヶ月から3ヶ月程度で許可を取得することができるといえるでしょう。

営業開始日に間に合わせるためには、2ヶ月から3ヶ月程度の余裕をもって、準備を開始することが望ましいといえます。

申請する警察署を確認しよう

古物商許可申請では、古物営業を行う拠点となる営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課防犯係が申請窓口となります。

管轄の警察署は、警視庁のホームページで確認することができます。

古物商を行う営業所として使用できる場所か確認しよう

古物商の許可申請では、申請者に営業所の使用権限があるかどうかが審査されることがあります。

したがって、申請前に、申請予定の営業所で古物商を営むことができるかどうかを確認する必要があります。

営業所が賃貸物件である場合、賃借人の名義が申請者と異なる場合や、使用用途が居住専用になっている場合には、賃貸人や管理会社から、営業所としての使用の承諾書を準備する必要があります。

承諾が得られない場合には、使用権限がある別の営業所を用意しなければならず、注意が必要です。

警察署の古物商担当者に相談しよう

古物商許可が必要であることがわかれば、警察署に事前に相談をしておくことをおすすめします。

警察署によって必要書類が異なる場合があり、書類が不足していると、何度も警察署に提出しにいかなければならないことになります。

事前に該当の警察署の必要書類を確認しておけば、1回の申請で受理してもらえる可能性が高くなり、手続きをスムーズに進めることができます。

また、いきなり大きな不備のある申請書を出されたり、何度もやり直しになってしまったりすると、担当者からの印象が悪くなってしまうおそれがあります。

事前に相談しておけば、担当者からの印象もよくなる可能性があります。

古物商許可申請の必要書類を集めよう

警察署への事前相談が終わったら、書類の準備を始めることになります。

申請書の記入の際に、住民票の写しの内容を転記する必要があるため、先に住民票の写しを取得し、他の添付書類も収集するのがスムーズです。

個人で申請する場合

個人で申請する場合、申請者の以下の書類が必要となります。

  • 住民票の写し(本籍地記載)
  • 身分証明書
  • 略歴書
  • 誓約書

法人で申請する場合

法人で申請する場合は、法人の役員の全員分の以下の書類が必要となります。

  • 住民票の写し(本籍地記載)
  • 身分証明書
  • 略歴書
  • 誓約書

併せて、以下の書類も必要となります。

  • 定款(奥書したもの)
  • 履歴事項全部証明書の写し

また、定款の事業目的から古物売買が読み取れない場合は、速やかに事業目的に古物売買が読み取れる文言を追加することを決定した旨の「確認書」を提出する必要があります。

その場合、法務局で事業目的の変更登記手続きを行う必要があります。

その他、警察署への相談で、追加資料の提出を求められる場合があります。

申請書を作成しよう

書類が集まったら、申請書を作成します。

必要な申請書は、以下の通りになります。

  • 古物商許可申請書一式
  • 営業所・古物市場情報書類
  • 略歴書
  • 誓約書
  • その他警察から指定された書類

古物商許可申請書一式は、警察署や都道府県公安委員会のホームページで手に入れることができます。

事前相談をする方は、事前相談の際に警察署で手に入れられますが、警察署に行く機会がない方は、ホームページからダウンロードして手に入れておきましょう。

都道府県公安委員会によって違いがありますが、申請書類には正本(原本)と副本(コピー)の計2部が必要となります。

そして、申請者の控えとして、さらにもう一部コピーしておくことをおすすめします。

個人名義で申請する場合

個人名義で申請する場合は、以下の書類が必要になります。

  • 別記様式第1号その1(ア)(第1条関係):古物商許可申請書
  • 別記様式第1号その2(第1条関係):営業所・古物市場情報書類
  • 別記様式第1号その3(第1条関係):URL届出書

古物商許可申請書

①タイトル

「古物商」か「古物市場主」の該当する方に丸をつけます。

②申請日

申請が正式に受理されたタイミングで日付を記入しますので、申請書を作成する段階ではまだ書かないでおきましょう。

③公安委員会名

古物商許可申請をする都道府県を書きます。

④申請者氏名・住所

住所は必ず住民票の写しに書いてある通りに正確に記載します。

⑤フリガナ

氏名のフリガナを書きます。

氏と名の間は1マス空け、濁音・半濁音は1マス使用します。

⑥ 法人等の種別

「6.個人」に〇を入れます。

⑦ 生年月日

日本人の方は和暦で、外国籍の方は西暦で記載します。

⑧ 住所

申請者の自宅住所を記載します。

住民票の写しに書いてある通りに、正確に記載して下さい。

④の住所と全く同じになるはずです。

⑨ 電話番号

警察署から連絡があった時に連絡がつく電話番号を書いて下さい。

古物営業のための固定電話がない場合には、携帯電話の番号を記載しましょう。

⑩ 行商をしようとする者であるか

全国どこでも商品を売ることができるようにする為に、「1.する」に〇を付けて下さい。

⑪ 主として取り扱おうとする古物の区分

13種類の古物区分の内、メインで取り扱いたい商品に1つだけ〇を付けて下さい。複数の区分の古物を取り扱い場合でも、メインで取り扱う古物の区分のみを選択します。

営業所・古物市場情報書類

古物営業を行う拠点となる営業所の情報を記載します。

① 形態

「1.営業所あり」に〇を付けます。

② 営業所の名称

営業所の名前(屋号)の正式名称を記載します。

また、住所(法人の場合は本店所在地)と営業所在地が違う場合にのみ、所在地を記入します。

③ 取り扱う古物の区分

13種類の古物区分のうち、今後取り扱う可能性のあるもの全てに〇を付けます。

メインの古物(古物商許可申請書の「主として取り扱おうとする古物の区分」で選択した区分)にも〇を付けるのを忘れないようにしましょう。

この欄は、後になって新たに取り扱いたい古物の区分が出てきた時に変更することも可能ですが、変更届が必要となります。

④ 管理者氏名

管理者の氏名を住民票の写しに書いてある通りに正確に記載して下さい。

氏と名の間は1マス空けましょう。

⑤ 管理者のフリガナ

管理者のフリガナを書きます。

氏と名の間は1マス空けましょう。

濁音・半濁音(゙゚など)は1マス使用します。

⑥ 管理者の生年月日

日本人の方は和暦で、外国籍の方は西暦で記載します。

数字の左側の枠が余った場合は0詰めして下さい。

⑦ 電話番号

警察署から管理者に連絡があった時に連絡がつく電話番号を書いて下さい。

携帯の番号を書く方が多いです。

URL届出書

インターネットを利用した古物営業を行う場合に、申請者が使用できる固有のURLを記載します。

① 電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供する方法を用いるかどうかの別

古物を売買するための、ネット上の独自コンテンツ(ホームページやストアページなど)があるか無いかを選択します。

ネット上で古物を売買するためのコンテンツが既に準備されている場合は「1.用いる」に〇を付けて下さい。

現在、古物の売買に関するネット上のコンテンツやストアページをお持ちでない場合は「2.用いない」に〇を付けて下さい。

② 送信元識別符号

上記で「1.用いる」を選択した場合に、該当のサイトのアドレスを記載します。

また、「1.用いる」を選択したときは、そのURLを使用する権限を証明する資料を添付する必要があります。

数字の0とアルファベットのオー、数字の1とアルファベットのエルなど、間違えやすいものに注意して下さい。

判別しづらい文字については、下に「ふりがな」を記入するとよいでしょう。

法人名義で申請する場合

法人名義で申請する場合は、個人名義で申請する場合に必要な書類に加えて、以下の書類が必要になります。

  • 別記様式第1号その1(イ)(第1条関係):法人役員

別記様式第1号その1(イ)については、役員が複数名いる場合、1枚の用紙に3名までしか記載できないため、役員の数に応じて用意する必要があります。

警察署に申請書を提出しよう

先述の通り、申請書を提出すると、審査期間が土日祝日を除いた40日程度かかります。

そして、準備した添付書類は、作成日付が申請日から3ヶ月以内のものでなければなりません。

したがって、申請書一式が揃ったら、なるべく早く提出するのが望ましいといえます。

警察署の生活安全課(防犯係)に電話で予約

担当者が不在の場合もあるため、事前に管轄警察署の生活安全課(防犯係)に電話を入れて、古物商許可申請書類提出の予約を入れましょう。

申請は、平日の日中にのみ受け付けています。

申請書提出時に警察署に持っていくもの

出直すことにならないよう、事前の確認を怠らないようにしましょう。

申請書提出時には、以下のものを持っていく必要があります。

  • 古物商許可申請書類(正本・副本)
  • 申請手数料 19,000円
  • 身分証
    免許証や保険証などの本人確認書類です。
  • 印鑑
    万が一、申請書に記載ミス等があったときや、担当者から訂正を求められた場合に、訂正印を押して対応します。
  • 委任状
    申請者本人以外や、法人代業者以外が申請に行く場合に必要となります。

申請手数料を支払いましょう

申請書の受理時に、申請手数料19,000円を納付します。

警察署の館内で証紙を販売しているところがほとんどですが、取り扱っていない警察署もありますので、事前に確認する必要があります。

古物商許可証の交付

申請が受理されてからの審査期間は、土日を除く40日前後となっており、20日〜40日で結果の連絡が来ます。

連絡を受けたら、許可書を受け取りに警察署に行きましょう。

交付の際に持参するものは、以下のものになります。

  • 法人代表者印
  • 認印
  • 身分証
  • 筆記用具
  • 委任状

古物商許可申請を行政書士に依頼しよう!

古物商許可申請は、以上の流れで、ご自身でも申請することが可能です。

しかし、開業のためにさまざまな準備が必要となる期間に、古物商許可申請をご自身で行うことは、多くの手間と時間がかかり、開業準備に十分なコストを割くことが難しくなる可能性があります。

そして、申請にミスがあった場合、その手間と時間はより大きなものとなってしまいます。

そこで、古物商許可申請の専門家である行政書士に申請手続きを依頼すれば、必要書類の収集や申請書の記載を最短で、正確に行うことができます

古物商許可申請をご自身で行う手間と時間が惜しい方や、ご自身で申請を行うよりも迅速に申請手続きを進めたい方、ミスなく申請を行いたい方は、専門家である行政書士に依頼することをおすすめいたします。

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まとめ

古物営業法上、事業として中古品売買を行う際は必ず古物商許可を取得しなければなりません。

古物商許可申請が必要な場合、許可証の交付までに2ヶ月から3ヶ月程度かかることを前提に、余裕をもって手続きを行う必要があります。

そして、迅速に申請を行うためには、警察署への事前の相談が重要となります。

申請書類の収集、書類への記入、警察署への相談・申請書類の提出等、さまざまな手続きを経て、ご自身でも許可申請を行うことも可能です。

しかし、申請にかかる手間や時間を考慮すると、行政書士に依頼したほうが、迅速・正確に申請を行うことができます。

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この記事の監修者:行政書士 永江 広明(登録番号 第17080770号)