キッチンカーを開業したい!開業するために必要な資格や営業許可を解説します

許認可

キッチンカーによる移動販売は、固定店舗よりも開業コスト・ランニングコストが低く、新たな業態として注目を集めています。

しかし、具体的な開業までの流れを把握していなければ、ビジネスの成功が難しくなるだけでなく、トラブルに発展する可能性もあります。

こちらでは、キッチンカーを開業する際に必要な資格・営業許可の取得方法についてご紹介します。

キッチンカーの開業には飲食店の営業許可が必要

キッチンカーを開業する際には、保健所から「飲食店営業」の許可を取得する必要があります。

「飲食店営業」の許可とは、保健所が定める基準・条件を満たすことによって、指定の区域でキッチンカーの出店が許可されることを指します。

営業許可を取得せずに営業を開始した場合、法律上は禁固刑や罰金が科されます。

また、飲食店の営業許可証の有効期限は5年間であり、満了日の1カ月前には更新料を支払い、更新の手続きを行います。

営業許可の取得方法と手順とは

営業許可を取得する際には、6つの段階があります。

以下で詳しく見ていきましょう。

営業場所を決めよう

まず、キッチンカーで営業を行う場所を決めます。

キッチンカーを開業する際に必要となる営業許可は、各自治体の保健所で取得しなければなりません。

例えば、東京都新宿区で営業を開始する場合は、新宿区の保健所に申請を行います。

また、キッチンカーの仕込み場所についても営業許可を取得する必要があります。

例えば、たこ焼きのキッチンカーであればタコを切ったり、生地を混ぜたりする場所が必要かと思いますが、その場所についても営業許可を取得する必要があります。

これも、仕込み場所を管轄する保健所に申請する必要があるため、例えば、仕込み場所を神奈川県横浜市とし、キッチンカーの開業場所を東京都新宿区とすると、横浜市と新宿区でそれぞれ飲食店の営業許可を取得する必要があります。

営業する地域の保健所に事前相談

営業する地域を決定した後は、その地域の保健所に事前に相談を行います。

営業許可を取得する際に求められる設備や条件は、申請をする自治体によって細かな部分が異なることがあります。

何度も申請書を書きなおしたり、キッチンカーの工事をやり直したりする事態を避けるため、事前に相談を行っておくとその後の手続きがスムーズです。

営業許可の申請書類を作成しよう

保健所で事前相談を行った後は、申請に必要な書類を作成します。

申請時に必要な書類は、保健所で受け取れます。

また、地域によってはウェブサイトからダウンロードすることも可能です。

市区町村名 営業許可申請書 ダウンロード」
※市区町村名に営業する地域を入れて、インターネットで検索するとダウンロードページを見つけられます。(例)「新宿区 営業許可申請書 ダウンロード」でインターネット検索すると下記のダウンロードページがインターネット上に表示されます。
新宿区のダウンロードページ

保健所によって提出する書類は異なりますが、代表的な書類としては、

  • 営業許可申請書
  • 営業の大要
  • 営業設備の大要・配置図
  • キッチンカーの車庫証明・地図
  • 仕込み場所の営業許可の写し
  • 仕込み場所の水質検査証明書
  • 食品衛生責任者の資格証明書
  • 車検証のコピー
  • 排便検査の成績書

などが挙げられます。

申請書類を保健所に提出し申請

書類を作成したら、保健所に提出して申請を行います。

その際には、手直し等が発生した時のために印鑑を持参しておくとよいでしょう。

また、書類の他にも手数料の支払いが必要です。

地域によって手数料の金額は異なりますが、16,000円~19,000円程度のところが多いので、20,000円ほど用意しておくと良いでしょう。

キッチンカーを保健所に持ち込みチェックを受けよう

書類を保健所に提出し、キッチンカーの準備が完了したら、保健所に車両を持ち込んで検査を受けます。

キッチンカーの検査は、連絡したその日に実施されるわけではありません。

事前に保健所の担当者と日程を調整し、検査日を決定する必要があります。

担当者によるキッチンカーの検査では、設備に不備がないかどうかを確かめます。

主な条件としては、

  • 運転席と調理場が完全に仕切られている
  • 給水・排水タンクの設置および十分な容量
  • 十分なシンクの数
  • 収納ケースや棚の設置
  • 換気の考慮
  • 水道蛇口が非接触水道
  • せっけんが常に清潔さを保てる状態
  • 冷蔵庫・冷凍庫の設置
  • ゴミ箱の設置

などが挙げられます。

こちらの検査で不備が確認された場合には、修正をする必要があります。

何度も検査を受ける手間をかけないためにも、保健所が提示した条件に則ってキッチンカーの作成を進めます。

営業許可取得完了

キッチンカーの検査で問題がないと判断されれば、2〜3週間ほどで営業許可証が交付され、保健所で交付を受けます。

そして、キッチンカーに営業許可証を提示し、営業を開始できます。

食品衛生責任者の資格も必要!営業許可だけではNGなので注意!

キッチンカーで営業を行う場合には、営業許可ではなく「食品衛生責任者」の資格も必要です。

食品衛生責任者は、飲食店など食品の衛生管理が不可欠な事業を行う場合に必要となる資格であり、店舗の衛生管理や不衛生な箇所の指導・改善を行います。

キッチンカーによるビジネスを始める場合には、一つの店舗につき食品衛生責任者を一人以上選出するよう義務付けられています。

食品衛生責任者の資格は、食品衛生協会が主催する衛生講習会を受講することによって、誰でも取得することが可能です。

受講料は必要ですが、6時間程の講習を受ければすぐに取得できるため、早いタイミングで取得しておくことが望ましいでしょう。

なお、以下の資格を持っている場合には、改めて食品衛生責任者の資格を取得する必要はありません。(下記は一例)

  • 栄養士
  • 調理師
  • 製菓衛生士
  • 食鳥処理衛生管理者
  • 船舶料理士

など

まとめ

こちらでは、キッチンカーの営業開始時に必要な営業許可の取得方法についてご紹介いたしました。

キッチンカーは気軽に事業を開始できるイメージがある一方で、食品を扱う性質上、営業許可の条件は細かく定められています。

手続きは煩雑であり、「設備の不備や申請書の手直しで、開業計画に遅れが生じた」といったケースも少なくありません。

煩雑な営業許可の取得手続きは、行政書士に依頼することによって負担を大幅に軽減することが可能です。

営業許可の取得に関してお困りの際には、専門家である行政書士に相談してみてはいかがでしょうか。

行政書士に相談してみる

この記事の監修者:行政書士 永江 広明(登録番号 第17080770号)