リース業やレンタル業を始めるためには、許認可や資格を取得する必要があると思っている方も多いかもしれません。
結論からお伝えしますが、リース業・レンタル業を始めるために許認可や資格は必要ありません。
そのため、比較的簡単に参入できる業界といえます。
ただ、許認可が必要ないといっても例外も存在しているため注意が必要です。
この記事ではリース業とレンタル業について詳しく解説しています。
リース業・レンタル業で許認可が必要な場合はあるの?
冒頭でもお伝えしましたが、重要なことなのでもう一度お伝えします。
基本的に、リース業・レンタル業を始めるために許認可や資格は必要ありません。
しかし、取り扱う物件によっては許認可が必要な場合があります。
レンタル業については、リース業と違って許認可が必要なケースが多いため注意が必要です。
リース業は許認可不要で始められる
リース業は、物件(設備や器具)をユーザーに貸して利益を得るため、金銭的側面を有しているものの、リース契約を規制する法律がないため、許認可は不要なのです。
リース業に許認可は不要とはいえ、賃金業の登録は行っておいたほうが良いでしょう。
その理由として、ファイナンス・リースという取引があるからです。
ファイナンス・リースは、貸付ける物件の購入資金とその資金に対する利息と手数料を、リース期間終了時の物件の残存価値から差し引いて、その金額を「リース料」として分割回収します。
この形態が、金銭を直接貸し付けているわけではありませんが、結果的には物件購入のため資金を貸し付けて、利息と一緒に回収することと同様だと判断される場合があるからです。
レンタル業は取り扱う物件によって許認可が必要な場合がある
レンタル業もリース業と同じく、基本的には許認可不要で始めることができますが、レンタル業には許認可が必要となる場合が多いため注意が必要です。
以下のような物件を取り扱う場合には許認可が必要となるので一緒に見ていきましょう。
・CD、DVD、本のレンタル業
CDやDVD、本を取り扱う場合には、作詞家や作曲家、原作者、脚本家など、作品を作った人の著作権が保護されているため、権利者からの許可が必要です。
CDやDVDの場合は一般社団法人日本映像ソフト協会に許可を得なければなりません。
当然のことですが、著作権が保護されているものを無断でレンタルした場合は、著作権法違反となるため、「知らなかった」では済まされないのです。
・レンタカー業
レンタカー業には、自家用自動車有償貸渡業の許可を取得する必要があります。
自家用自動車有償貸渡業の許可は運輸局に申請することにより取得することができます。
自家用自動車有償貸渡業という文字だけをみると、車のレンタルをする場合にのみ必要と勘違いしそうですが、バイクのレンタル業(126cc以上)の場合でも、自家用自動車有償貸渡業の許可が必要です。
レンタカー業はとても需要が高まっているので、以下の記事で「レンタカー業開業までの流れ」について詳しく解説してますので、参考にしてみてください。
・中古品のレンタル業
中古品のレンタルを行う場合は、古物商許可の取得は必須です。
古物商許可は、中古を安く仕入れて販売し利益を得るリサイクルショップを始めるときに必要というイメージがありますが、中古品の販売だけでなく、レンタルする場合にも古物商許可は必要なのです。
中古品を取り扱う場合には古物商許可が必要とシンプルに考えると良いでしょう。
そのため、新品を仕入れてレンタルする場合には、古物商許可は必要ないということです。
新品を仕入れて一度貸し出すと中古になってしまうから、どのみち古物商許可が必要だと考える人も多いと思いますが、仕入れる段階のものが新品か中古で判断されるので、新品のみを仕入れるのであれば、古物商許可は必要ありません。
リース業とレンタル業の違いとは?
リース業とレンタル業は、物件(設備や器具)を貸し出して収益を得るという部分では非常に似ています。
むしろリース業とレンタル業は同じ事業として捉えている方も多いのではないでしょうか。
しかしリース業とレンタル業には大きな違いがあり、リース業やレンタル業を始めたいと考えている方は、これらの特徴を把握しておく必要があります。
リース業 | レンタル業 |
|
---|---|---|
契約期間 | 中長期間 | 短期 |
対象物件 | 借主のニーズに応じた物件をリース会社が購入し貸出 | レンタル会社が保有している物件を貸出 |
物件の状態 | 新品 | 中古 |
途中解約 | 不可(残リース料または残リース料相当分の違約金を支払うことで可能な場合あり) | 可能 |
保守管理修繕義務 | 借主 | レンタル会社 |
料金 | 物件価格×リース料率※ | 一定の料金設定 |
月額費用 | レンタルよりも割高 | リースよりも割安 |
契約期間終了後の物件の取扱 | リース会社へ返却または再リース契約 | レンタル会社へ返却または契約延長 |
※リース料率は契約期間が長いほど低くなり、契約期間が短いほど高くなります。
リースのメリットとデメリットとは
前のトピックでは、リース業とレンタル業の違いについて詳しく解説しましたが、リースを利用することによってユーザーに大きなメリットがある一方、デメリットも存在するのです。
リースのメリット、デメリットについて解説していきます。
リースのメリット
・コストを抑えて常に最新の物件を導入できる
一般的に最新の物件を導入するとなると、多額の初期費用が必要となりますが、リースを利用することにより、月々のわずかな費用で最新の物件を導入することが可能です。
リースを利用することで、まとまった費用が1度にでていくことはありませんので、余裕資金を運転資金に回すことができるので、会社の健全化も期待できます。
・リース料を経費として処理できる
物件を購入した場合は減価償却分のみが経費扱いとなるため、全額を経費扱いにすることはできません。
リースを利用することで月々にかかるリース費用全額を経費として処理することができます。
また、月々の費用も一定のため、ランニングコストを把握しやすいこともメリットの1つといえるでしょう。
・開業したばかりで会社に信用が無くても利用できる
物件を購入する場合、購入資金を調達するために借入の必要があります。
会社の信用がない場合は、多額の資金を借入することは簡単なことではありません。
しかし、リースの場合はリース会社が物件を購入してくれるので、会社は借入をすることなく、月々のリース費用を支払うだけで物件を利用することができます。
開業したばかりで会社に信用がなくてもリースを利用することができるのは大きなメリットでしょう。
・物件の管理業務を効率化できる
リースした物件の所有権はリース会社にあります。
そのためリースを利用したユーザーは固定資産税(償却資産税)の申告・納付などはリース会社が行うので、物件の管理業務の負担が軽減されます。
物件の管理業務の負担が軽減されるということは、人件費削減にもつながるため大きなメリットの1つです。
リースのデメリット
・契約期間が長く、途中解約ができない
リースは契約期間が長く、3年以上の契約になる場合がほとんどです。
また、途中解約が基本的にはできないため、リースを利用すると契約満了までは物件を使い続けなければなりません。
最初の数カ月だけ利用し、その後利用しなかったとしてもリース料の支払いはしなければいけません。(壊れてしまった場合もリース料を払わなければなりません)
長期的に利用することが見込めるものしかリースは利用しないほうが良いため、融通は利かないといえるでしょう。
・長期的にみると大きな費用がかかる
リースは1度にまとまった費用を支払う必要がないため、導入がしやすいというメリットがありますが、リース料には、物件の購入代金だけでなく、リース会社の手数料や保険料、金利、税金なども含まれます。
そのため、長期的にみると支払総額は、購入するよりも割高となる可能性があります。
・保守管理・修繕義務がある
リースした物件の保守管理・修繕義務は借主にあります。
そのため、リースした物件のメンテナンスのための維持費が必要です。
・所有権がないため契約期間満了後は物件を返却する必要がある
リースした物件の所有権はリース会社にあります。
賃借の関係のため、契約期間満了後は物件を返却しなければなりません。
物件を購入する場合と違い、手元に物件が残らないため、法定耐用年数より長く使用できる物件でリースを使うことはデメリットとなるでしょう。
レンタルのメリットとデメリットとは?
レンタルも同様にメリットとデメリットが存在しますので、解説していきます。
レンタルのメリット
・必要な物件を必要な時だけ借りることができる
レンタルは短期間から利用することができ、中途解約もできるので、融通が利きます。
利用する期間分だけレンタルすれば良いので、無駄なコストも削減することができます。
利用後はレンタル会社に返却するため、物件の保管場所を確保する必要もありません。
・事務処理の負担を軽減できる
物件をレンタルする場合、借主はレンタル費用の支払い管理のみ行えば良いため、事務処理の負担を軽減することができます。
物件を購入した際に必要となる、償却経理事務、固定資産の申告・納付事務、損害保険の加入などの煩雑な事務手続きもレンタルの場合は必要ありません。
・物件購入と違い、まとまった費用が必要ない
物件を購入する場合はまとまった費用が必要となります。
しかし、レンタルの場合は必要な時だけレンタルし、その分の費用を支払うだけで物件を利用することができるため、必要最低限に費用を抑えることができます。
・保守管理・修繕義務はレンタル会社にある
リースと違い、保守管理・修繕義務はレンタル会社にあるため、メンテナンスなどにかかる維持費が発生しません。
レンタルのデメリット
・希望する物件がない場合がある
レンタル会社が所有している物件からしか選ぶことができないため、希望する物件を借りれない場合があります。
借りる物件の選択肢が少ないというところがレンタルのデメリットといえるでしょう。
・長い期間レンタルすると割高になる
短期間レンタルする場合は、必要最低限に費用を抑えることができます。
しかし、長期間レンタルする場合は、リースよりも支払い総額が割高になるため、中長期にわたって物件を利用する場合にはレンタルは控えたほうが良いでしょう。
まとめ
リース、レンタル業は基本的に許認可不要だが取り扱う物件によって許認可が必要なケースがあるということがわかりましたね。
また、リースとレンタルの違いやメリット、デメリットなども詳しくわかったかと思います。
リース業・レンタル業は許認可はいらないからという情報だけが先行して、いざ事業を開始すると、行政から注意を受けることもありますので、不安な方は事業を始める前に許認可に詳しい行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。