古物商許可がメルカリ転売で必要なケースと不要なケースを解説

許認可

近年は、地球温暖化などのさまざまな環境問題を意識する人々が多くなりました。

それに伴い、使わなくなったものを捨てるのではなく、格安で他人に譲るという考え方が一般的になってきました。

メルカリやラクマなどのフリマアプリは、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

こういったフリマアプリの登場により、中古品を簡単に販売することができる世の中になりました。

中古品を販売する場合、古物商許可を取得する必要があるという知識は持っているものの、ほとんどの人が古物商許可を取得せず、メルカリなどのフリマアプリを利用し、中古品の販売を行っているのが現実です。

この記事では、古物商についての解説から、古物商許可が必要なケースと不要なケースについてまで、詳しく解説していきます。

中古品の売買事業はこれからも注目される事業ですので、古物商についての理解を深めておきましょう。

古物商とは

古物商とは、ビジネスとして中古品を販売やレンタル、交換などをする個人や法人のことをいいます。

日本で古物商として事業を行うためには、警察署に古物商の許可を申請し、都道府県公安委員会の許可を受ける必要があります。

古物商の許可を申請しなくても問題にはならないでしょ!!

と思っている方も多いのではないでしょうか?

古物商許可を取得せずに、古物商として事業を行ってしまうと、無許可で営業をしたとみなされ、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」を科される場合があります。

そのため、中古品の売買、レンタルなどによる事業を行う場合は、古物商許可を必ず取得しておきましょう。

古物商のことをより細かく解説していきますので、最後までお読みください。

一度使用されたものは、もちろん中古品(古物)となりますが、たとえ未使用であっても、取引されたことのある物は中古品(古物)という扱いになるのです。つまり、消費者の手に一度でも渡った時点で、中古品(古物)という扱いになるので、覚えておきましょう!

古物は13種類に分類

古物営業法が定める中古品(古物)は13種類に分類されます。

わかりやすく表にまとめました。

古物商の事業を行う際は、以下の13種類の中から取り扱う中古品を決めます。

複数の種類を取り扱うことも可能です。

種類
美術品類書画、彫刻、工芸品など
衣類和服類、洋服類、その他衣類など
時計・宝飾品類時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類など
自動車自動車、カーナビ、タイヤ、ホイールなどの部品
自動二輪車および原動機付自転車バイク、タイヤ、ホイールなどの部品
自転車類自転車、タイヤなどの部品
写真機類カメラ、光学器、顕微鏡など
事務機器類パソコン、レジスター、ファクシミリ装置、事務用電子計算機など
機械工具類工作機械、土木機械、化学機械、電気類、工具類など、
道具類家具、雑貨、楽器、運動用具、玩具類など
皮革・ゴム製品類鞄、靴、財布など
書籍漫画、雑誌など
金券類商品券、乗車券、ライブ入場券など

古物商の守るべき3つの義務

古物商の事業を行う上で、守らなければならない3つの義務について詳しく解説しますので、違反をしないように一緒に見ていきましょう。

本人確認義務(取引相手の確認)

古物の売買を行っていると、古物の中に盗品などが紛れ込んでくる場合があります。

だれもかれもから買い取りを行っていると、犯罪を手助けしてしまうことにもなりかねないため、古物営業法では取引相手がどのような人物なのかの確認を行うことを義務づけています。

確認方法については、自動車運転免許証やマイナンバーカード等の身分証明書で「氏名」「住所」「年齢」「職業」を確認する必要があります。

本人確認の義務に違反した場合、営業停止処分や古物商の許可の取り消し処分の他、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意が必要です。

古物台帳への取引記録義務

古物の売買を行う上で、窃盗事件の盗品や詐欺事件などの被害品が持ち込まれてしまった場合、犯罪捜査の対処となります。

そのため古物営業法では、古物の売買を行った場合には、古物台帳に取引記録をつけなければならない義務があります。

記録しなければいけない項目は以下の通りです。

  • 取引相手の氏名、住所、年齢、職業
  • 取引相手の確認をどのような方法で行ったか
  • 古物の品目と数量
  • 取引年月日
  • 古物の特徴
古物台帳へ取引記録をした日から3年間は保管しておかなければいけません。
取引記録の義務に違反した場合、営業停止処分や古物商の許可の取り消し処分の他、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があるため、注意が必要です。

盗難品等の不正品申告義務

古物の売買を行う上で、盗難品などの犯罪被害品の疑いがある物が持ち込まれる場合があります。

その際は、直ちに警察へ申告する義務があります。

古物営業法では、盗難品などの犯罪被害品の流通を防ぐという目的があるため、気づいた時点で直ちに警察へ申告することが義務化されているのです。

以下のような場合は、盗難品などの犯罪被害品の可能性があると疑ったほうが良いでしょう。

  • 古物を持ち込んだ人物に落ち着きがなく態度が不自然
  • 購入場所や商品知識が乏しく、質問に対して明確に応えられていない
  • 身分不相応な品物を持ち込んできた(女性が男性のブランド品を持ち込むなど)
  • 同じ種類の古物が複数個持ち込まれた
  • シリアルナンバーが消されている
  • 高額商品だが保証書がない

盗難品等の不正品申告義務に違反した場合、営業停止処分や古物商の許可の取り消し処分となる可能性があります。また、盗難品などの犯罪被害品だと認識している状態で取引をした場合、盗品等有償譲受罪や盗品保管罪に該当し、10年以下の懲役および50万円以下の罰金が科される可能性もあります。

古物商は大きく2つに分けられる

古物商は大きく分けて、以下の2つに分類されます。

  • リサイクルショップや古本屋などのように店舗を構えている
  • インターネットやフリマアプリなどオンラインで古物を販売している

ここ最近では、2つを組み合わせて古物商のビジネスを行っているところが増えています。

インターネットやフリマアプリでショップを開設して古物の売買を行う場合は、ショップのURLを警察署へ届出をする必要があります。

古物商許可が必要なケースとは

ここまで古物商について詳しく解説してきましたが、ここからは実際に古物商許可が必要なケースについて解説していきます。

一目でわかるように箇条書きで解説しますので、古物商許可が必要か確認してみましょう。

  • リサイクルショップ、レンタルショップを運営
  • ネットやメルカリなどのフリマアプリを使って中古品の転売
  • 古物を預かり売れた際に手数料をもらう(委託販売)
  • 国内で購入した古物を海外に輸出して販売
ネットやフリマアプリを使っての取引は、かなり多くの人が行っています。
ネットやアプリで取引する場合は店舗を構えているわけではないから、古物商許可は必要ない!と勘違いしている人がいらっしゃいますが、店舗が無ければ古物商許可は必要ないということにはなりません。
中古品の転売を行う場合は古物商許可が必要となると考えたほうが無難でしょう。
古物商許可が必要かどうか迷った場合は、古物商許可の専門家である行政書士に相談するとよいでしょう。

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古物商許可が不要なケースとは

古物商許可が不要なケースについて解説します。

  • 私物を販売する(自分で使用していた物や自分で使用するために購入した未使用の物)
  • 無償でもらった物を販売する
  • 処分費用などの手数料を取って回収した物を販売する
  • 海外で購入したものを販売する

古物商許可が不要とはいっても、条件次第では許可が必要な場合もありますので、「古物商許可が必要かもしれない」と少しでも疑問が残る場合は、古物商許可を取得しておくべきでしょう。

古物商許可を自分で取得するのは困難な場合は、古物商許可に詳しい行政書士に相談しましょう。

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古物商許可を取らず無許可で営業した場合の罰則

わざわざ古物商許可を取得しなくても、バレなければ問題ないでしょ!

と思った方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、古物商許可を取らずに無許可で営業することは違法ですし、バレたときの罰則が重いので、古物商ビジネスを行う場合は古物商許可を必ず取得するようにしましょう。

無許可で営業した場合にどのような罰則があるのか見ていきましょう。

古物営業法の第六章に、下記のように記載されています。

第三十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者
二 偽りその他不正の手段により第三条の規定による許可を受けた者
三 第九条の規定に違反した者
四 第二十四条の規定による公安委員会の命令に違反した者

引用:古物営業法 第六章 罰則

わかりやすく説明すると、古物商許可を持たずに営業をしてしまった場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されるということです。

それだけでなく、5年間は古物商許可を取得することもできなくなります。

古物商としてビジネスをしている人や、これから古物商としてビジネスを始めようとしている人は、リスクなく営業をするためにも、古物商許可を必ず取得するようにしましょう。

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古物商許可の取り方と費用について

古物商としてビジネスするためには古物商許可が必要ということはわかったけれど、どうやって取得すればいいの?と思っている方も多いのではないでしょうか。

古物商許可の取り方について簡潔にまとめて解説していきます。

古物商許可を取得するためには、主たる営業所がある場所を管轄している警察署に申請する必要があります。

古物商許可の申請をすれば、すぐに古物商許可を取得できるわけではありません。

申請してから、審査が完了するまでに約40日間かかります。

また、古物商許可の申請には多くの書類を準備する必要があります。

必要な書類は以下の通りです。

  • 古物商許可申請書
  • 略歴書
  • 住民票
  • 誓約書
  • 市区町村発行の身分証明書
  • 営業所関係の書類(不動産登記簿や賃貸借契約書)
  • URLの使用権を証明する書面(オンラインで古物を売る場合)

※法人の場合、「法人の登記事項証明書」「定款の写し」も必要です。

もちろん自分で申請することも可能ですが、書類を準備する多大な時間、書類を間違えてしまった場合に審査に落ちてしまうリスクなどを考えると、許認可申請のプロである行政書士に代行してもらうのが良いでしょう。

行政書士によって費用は異なりますが、4~6万円程度で行政書士に代行してもらうことができます。

4~6万円を高いと捉えるか安いと捉えるかはあなた次第ですが、面倒な手続きは行政書士に任せて、古物商のビジネスに集中したほうが良いと私は思いますので、参考にしてみてください。

古物商許可の申請を自分でした場合でも、行政書士に代行してもらった場合でも、公安委員会へ申請費用として19,000円支払う必要があります。
※古物商許可の取り方について、より詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
【自分でも申請できる!】個人と法人での古物商許可の申請方法と必要書類を教えます
古物の売買、交換、レンタルを業として行う古物営業を行う場合、古物商許可を取得しなければなりません。 古物商許可を取得するには、必要な書類を集め、申請書を作成し、警察署へ許可申請をする必要があります。 以下に、申請方法や必要書類について詳しく...

許可を取得したら古物商プレートを作成・掲示しよう

古物商許可を取得できたからといって安心してはいけません。

古物商プレートを作成して、営業所に掲示しなければいけません。

お客様の見やすい場所であれば、特に場所の指定はされていないので、どこに掲示しても構いません。

ただ、古物商プレートを作成する上では、以下の点に注意しなければいけません。

①プレートのサイズ
縦8センチ、横16センチの長方形

②許可番号を記載する
プレートには、古物商許可番号(12桁)を記載

③取り扱う古物の品目を記載する
取り扱う古物の品目を1つ記載します。
「○○○商」という表記になります。

④氏名または名称を記載する
個人の場合は、古物商許可を取得した人の氏名、法人の場合は名称を記載します。

プレートを作成する上での仕様に沿っていれば、インターネットなどでプレートを購入し、ご自身で作成しても問題ございません。

まとめ

古物商としてビジネスをするためには、古物商許可が必要だということが理解できたと思います。

また、古物商許可が必要なケース、不要なケースについてや、古物商許可の取得方法まで解説してきました。

古物商としてビジネスを行っている方、これからビジネスを始めようとしている方で、古物商許可を取得していないのであれば、今すぐに取得することをお勧めします。

申請に必要な書類をご自身で用意する時間が無かったり、警察署に申請に足を運ぶことが難しい方は、古物商許可のプロである行政書士に代行してもらいましょう。

無駄な労力もかからず、書類に不備がない状態で申請ができるため、古物商許可をスムーズに取得することが可能です。

知り合いに行政書士がいない場合は、以下の「行政書士を探してみる」をクリックしていただき、問い合わせフォームに入力いただくと無料で行政書士をご案内します。

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この記事の監修者:アスクプロ在籍社員(行政書士有資格者)